融資を受ける(3)
融資を断られた場合は?
日本政策金融公庫と信用保証協会付き融資は、1回で融資を勝ち取るようにしてください。日本政策金融公庫では、「最初の申請から6ヶ月を経過しないと再申請は受け付けない」という原則があるからです。
日本政策金融公庫は、融資する個人の資金管理能力を重視する傾向があります。税金、公共料金、電話料金、金融の信用情報が調査されます。融資を受けるには、絶対にこれらの問題を起こさないようにしましょう。
融資を断られてしまったら、その理由をはっきりさせなければなりません。場合によっては、再挑戦のチャンスがあります。
再申請が絶望的な場合
次のような理由で断られたのであれば、再申請をしても融資を受けられる可能性はまったくありません。100%自己資金にするか、美容室の開店をあきらめることになります。
- 金融事故を起こしている
- 消費者金融から多額の借入がある
- 税金の滞納があり、払える見込みがない
- 確定申告をしていない
- 自己資金がまったく不足している
- 通帳の履歴がなく、自己資金に見せ金の疑いがある
- 面談での噓や、書類の偽造が発覚
6ヶ月後に再申請で融資の可能性がある場合
次のような理由で断られたのであれば、再申請で融資を受けられる可能性があります。6ヶ月後の再挑戦に向けて、万全の準備を整えましょう。
- 自己資金が少し足りない(資金計画を変更する)
- 資金計画が不明瞭(資金計画を修正する)
- 売上げ根拠が不明確(説得力を持たせる)
6ヶ月待たなくても再申請で融資の可能性がある場合
担当者に「ここを修正すれば融資が可能なのですが」などとアドバイスを受けている場合は、6ヶ月待たなくても再申請で融資を受けられる可能性があります。
融資をうまく運用する
融資を申し込むことで、創業計画書の善し悪しを金融機関に審査してもらうことができます。審査が通らないような計画は、実現性が低いと考えられるからです。審査が通ったのであれば、この計画は実現性が高いと金融機関がお墨付きを与えたことになります。
金融機関が創業計画書にもっとも重視しているポイントは、黒字経営に転換できる時期です。つまり、月間の資金収支予測に説得力が強く求められているのです。こうした計画書は融資のみならず、実際に事業を進めてゆく上で重要な指針となるものです。
金融機関との付き合い方
創業計画書のしっかりした美容室は、金融機関にとって新たな優良顧客になるかもしれません。また美容室にとって金融機関は、資金繰りの面で事業を助けてくれる大切なパートナーとなります。金融機関とは、積極的に付き合うようにするべきでしょう。
事業を大きくする場合、あるいは赤字を出してしまった場合、金融機関の助けは不可欠になります。
経営が軌道に乗り、黒字が続くと、金融機関が融資を提案してくることがあります。現在取引のある金融機関ばかりか、今まで取引のなかった金融機関からも追加融資を打診されるかもしれません。これは店舗をさらに成長させるチャンスですので、よく検討してみましょう。スタッフの増員、拡張移転、新店舗といったことが考えられます。
金融機関の選び方
金融機関には、都銀、地銀、信金などさまざまなものがあります。この中でも、売上金の入金など日々の出納事務は店舗の近くにある地元の信金が便利です。店舗の大小に関係なく、信金の担当者は定期的に訪問し、経営や会計、経理についてアドバイスしてくれます。
創業融資では、多くの美容室が日本政策金融公庫か信用保証協会の保証制度を利用します。この審査で提出する創業計画書の作成などについても、信金の担当者に助言を求めることができます。
経営が軌道に乗っているときには、プロバー融資を考えてみましょう。プロバー融資は、金融機関が全リスクを負います。よほどの信用がないと受けてもらえません。つまり、プロバー融資を受けることができるということは、大きな信用があるというお墨付きをもらえたということです。すると今後、ほかの金融機関との取引で、有利に交渉を進めることができるようになるのです。